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本編の中盤ころの話し。 本編前はマリ→アル要素が主だけど、本編開始後はアル→マリが主体ならいいなあと思う。もちろんマリ→アルも本編後もあるけどそれ以上にアルタイルが自覚して「こいつは俺にとって大事な存在だ」って気付いてくれればいいと思う。
以前は自覚があまりなかったけれども。最近は愛されてるのかもと思うようになる。 アサシン支部の天窓より下を覗きつつつ降りると、「もっと静かに下りないか」と飛んでくる声は、愛されてる証拠だ。
足音だけで俺が誰だかわかる。
任務が終わり、支部に簡易に作ってもらう寝床で体を休めて寝ていれば「早く帰らないか、お前にはここがマシャフに見えるのか」と言う皮肉なセリフは、その他の誰とも違う。他の管区長はこんなことは言わない、休んでいけ、次の任務のためにも力をためないとな、とこう言うだろう。
俺に厳しく言う人物は多いがその中でも、彼は際立っている。怒らせたいのかと言うほどの中傷にも似た針のようなセリフを浴びせてくる。俺がそれでお前を嫌うと思っているのか。それとも自分でいって自分を追い詰めたいのか。前者なら、お前は間違っている。
俺は厳しくされればそれを愛と感じる。そう教えられてここまで歩いてきた。
あの人が俺に教えたもので、無駄なものなど何もない。
「聞いているのか、アルタイル。」
叱っても行動に移さないこちらを追い出しに来たのか、いよいよ奥の部屋の机の向こうよりでてくるとそこに寝転がったままの俺の前にすくりとたつ。動くことで波をつくる彼の服布の左腕の部分がゆるくゆれて、そのままゆっくりと垂直におりる。厚みのない袖はそこが空虚だということが分かる。見ていて痛みを覚える。
でも失ったから、だからこそ、そこより芽生えたものはあるのだろう?
今の怒りもそうだ。俺へのあからさまな嫌悪間を見せる態度も、そうだ。
でもそれはもともとあっておおわれて見えないでいただけで、失ったことで表に出てきたのかもしれない。
それは俺も同じだ。俺も地位と名誉を失って気付いたことがある。しかしやはりそれは芽生えたのかもしれないし、ずっと持っていたのかもしれない。
どっちかなどどうでもいい。
彼のこれは愛ではなく怒りなのかもしれないけれども、それだってどっちだっていいのだ。
激しい感情であるのは間違いない。 それだけでいいのだ。
感情を向けられるのは気持がいい。 俺はそうして育ったから。 気持がいい。
「なんだ、その顔は。」
「なんでもない。」
睨まれた視線を胸一杯に感じながら、立ち上がる。瞬間、足元を寝床に敷いていた布に足を取られ転びそうになった。
「・・っ・・、何してるんだ、お前は・・」
しかし転ばなかった。腕をとられたのだ。 彼は右の腕で俺の右の手を握っている。
「寝ぼけているのか。」
「いや・・お前の、顔に・・」
「なんだ」
怒る顔に見とれていたと言えばもっと怒られるか。 しかし怒りの感情が愛と同等の重さならそれもいい。
俺は変わった。 愛を知るようになった。
叱咤され俺をここまで育てあげてくれたあの人の俺に向ける感情も愛で。
そして、この感情も愛であると感じてる。受ければ快感なのだから。
でも俺の持とうとする愛は、辛辣なものではなく、もっと深く慈悲で満ちたものにしたい。
もう怒り任せに剣を振ることはしなくない。それで多くのものを傷つけ失ってきた。
「安らかに眠れ」と死者の前で述べるようになった。以前の俺は口にしようともしなかったことだ。
俺は変わった。でももっと、変われるだろう。そのためにも、
「おい、いつまでこの姿勢でいるつもりだ・・」
この右手が俺には必要だ。
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