×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「贖罪」というタイトルの原作を持つ、第二世界大戦前~その最中の人物の交錯劇です。
イギリスらしい、各所に入る美しくも切ない戦慄のBGM、せりふ回しがほとんどなく映像とキャラの視線だけで語る指向は、陽の名残り、眺めのいい部屋、などを思い出しつつ。
私はそれらは何度も見ているのになぜこれを見てなかったのだろうという位に名声はある作品。
ちなみに個人的にイギリスのそういった系統の映画では、日陰のふたり、と、モーリスが好きです。
作品はこの少女ブライオニーの視線で終始すすみます。
文学の才に長け、多感な少女は、そこそこの名家の娘、次女です。姉がいますが、この妹と違って姉セシーリアはどこか奔放で好き勝手をしてる印象、家でもぷかぷか煙草をふかして裸足で歩いたりしております。
両親もどちらかと言えば妹の肩を持つ感じで、ブライオニーはそんな姉と真逆なくらいに神経質で脅迫的な印象です。廊下の角を直角にあるいたり髪を乱さないようにきちんと止めたりしております。
ブライオニーは、使用人の息子ロビーの持っているタイプを借りて戯曲を書いたり話を書いたりしております。話を書き、空想するのが好き。そしてその家のロビーも好き。
しかし彼女は、姉のように奔放で色気もなくちょっととっつきにくい難しい性格をしており、そして恋愛対象に見られるにはあまりにも幼くロビーには見向きもされない。
そんなある日、窓の外で姉とロビーが水辺で***しているのを見てしまう。
彼女の中の多感な何かが刺激されていく。
***をしてしまったロビーはそののち姉に向けて手紙を書くが、それは少し過激な内容でその露骨な性器の名前が含まれる手紙を、あろうことかブライオニーに「姉に渡して」と頼んでしまう。
それを見てしまうブライオニーは、ショックを受ける。そして姉とロビーが部屋で性行為をしてるのをみてしまう。
それにまたショック。
そんなうちにブライオニーの友人ローラが暗闇で誰かに犯されてるのをみてしまう。
その人を見て、その人をロビーだと思い、警察にそう伝えてしまい警察はそれを信じ、ロビーは刑務所へ。
刑務所に入って、その後出所し、姉と再会し、また会おうと約束するも、戦地に赴くことになるロビーはそこで命を落とし、姉も戦争で被災し死亡。
大人になったブライオニーは自分が嘘の告発をしたことを悩み苦しみそれを証言したいというもののそれはできず、彼女は晩年にそれを自叙伝の中で書き、姉と初恋の彼を結ばせることで自分の心の平安を保つという。
ざっとこんな話。
いやあ、なかなかに暗い話です。
あまり幸せ、というムードになることがなく、ずっと低空飛行のまま進んでいくフィルムはちょっとした鬱気分を容易に起こしてくれます。
壮大なラブロマンスといううたい文句がDVDに書いてありますが・・ラブっていう感じはあんまりしなかったです。
自分の生き方に悩む少女の苦悩の人生を見せられた気分です。
セシーリアとロビーが恋愛関係にある、という感じなのかもしれませんが、それはあまり主題ではないのかなあと。
問題は、このブライオニーと、ロビー、のような気がします。
ブライオニーがずっと愛した男への贖罪。
彼が好きで、彼の前でわざと水の中に飛び込んだブライオニー、その時に助けられて「ありがとう」と喜びますが、彼は激怒します(あたりまえ)
でもこの少女をここで、もし「無事でよかった」と抱きしめていれば?
きっとまた違う展開が生まれたかと思います。
あんな風にブライオニーの心は憎しみに行かなかったかとも思います。
ブライオニーは難しい少女です、セシーリアほどの社交性もなく、文字と空想で語る少女は、好きな男性へのアピール方法も変わってます。
でもロビーにはそこまでを知り、実行することはできなかった。
ブライオニーはその後、嘘の告白をしたことで自分のことをロビーと姉は攻めているのではないかとほぼ被害妄想に近い形で思いますが、それは真実ではないでしょう。事実二人はブライオニーを責めることもあまりなさそうです。
私もそう思う。うその証言はいけないけれども、悪いのはあんな事件を起こした真犯人であり、犯人を間違えた警察なのです、ブライオニーが全部悪いというのはないです。
でもこの映画は本当にどこまでも「ブライオニーの負の感情」というベールで被われそれに目隠しをされた中で見ているのでなかなかに二人に申し訳なかったという悲劇性をほぼ無理矢理感じさせられるというつくりになってます。
ただ、そのブライオニーが水の中に飛び込んだシーンをロビーが戦場で苦しい時に、「幾人もの少女の死体」を見た時に、思い出す、というシーンがすごく印象的だった。
彼は、あの水の中に飛び込んだブライオニーを見て、彼女は死んだ?と思ってぞっとした。
辛かった悲しかった。なのに、それを彼女はわざとやって「ありがとう」などと言った。
許せなかった。それはどこかで彼女を。
ロビーは、その一件もありそれ以来ブライオニーを避けたんでしょうか。この子はどこか危険と思ったのでしょうか。
それをブライオニーはさびしいと感じたのでしょうか。
だから、うその証言をしたのでしょうか。
自分の方にきてくれないなら、という愛の裏返しにもなる憎しみを無自覚のうちにも思って。
あとはブライオニーとロビーが、戦場で「フランス語を話せるイギリス人」として描かれていることも、妙なシンクロニズムを感じます。
知的だった二人。フランス語を話せることで周囲より、一目置かれる二人。
ブライオニーは死の床のフランス人の前で、手を握り精一杯看護するシーンにはぐっとくるものがありました。
きっと、あのフランス人の命が消えた時、と、ロビーの命が消えた時、の時間は同じだったのかも・・などと思って。
あの瞬間、彼女と彼の何かがつながったのかも、と思って。
見る人によってかなりの印象が変わる作品だと思います。
タイプライターの音、イギリスの風景美、いろんなものを目にし耳にしながらこの作品に込められるいろんな感情と、行動と、絶望と、悲しみと愛は結構にいい。
どんよりとしながら終始首を絞めつけられるような余韻に浸れます。
写真集
シャーロックのベネディクト氏がでてます。
チョコレートで人生を築き上げる人、でもロリコンっていう役柄。そうこの人が、ローラを犯した真犯人。
髭ありの金髪な姿をしております。そしてこの時はしましま水着を着ております。
この映画ではこの彼がローラを襲うというときに、彼の尻が見られます→(ネタバレ・レイプシーン注意 )
この先にいる少女を狙ってる・・。
でも彼もなかなかに純愛なのでしょうか・・? しかし、ロビーに罪を着せてそのあと何も弁明しないあたりがなかなかに、あくどい気もします。
彼の真意などは、ちょっとそこまでは一回見ただけではわかりませんでしたが、ストイックなキャラが多いなかで、この青年と、この犯される少女はなかなかに色っぽい存在でした。
ロビー役のジェームズ氏、鎖骨・・・
声がセキトモだったので私の中では終始エツィオと化してまい困りました・・すぐに違和感はなくなったけれども
このシーン、空に浮かぶ飛行機を見ているのですが、なんかそのシーンが儚くて、彼は戦争に行き死ぬのではないか、とここら辺で予想できてしまいました・・
PR
コメント