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その時好きなものや思ったことなどをゆるく語ってます(ゲームとアニメ、ドラマ、他) ※はじめに、をご一読ください

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(2nd-DAY/アチ+ケス)
(2nd-DAY/アチ+ケス)

※見直ししてないのでそのうち手直しします。
1st→10th まで書きあげたら本にしたいです(っていう夢がある








任務中はいかなる時でもオプサットを手元に置いておく。これは鉄則事項だった。
以前の話しになるが、任務中、といってもそれはミッションは終了したときでありプライベートタイムを持てるだろうと思っていた時だった。オプサットを数分だけだが俺は手放してしまい問題になった。手放したその間に敵の妨害装置が起動しそれを伝えてきた管制官からの指令を聞き逃し、仲間を危険な目にあわせてしまったのだ。詳しくは言いたくないが、まあ痛い目を見たってことだ。上からもこっぴどく叱責されたし、なにより油断をして結果致命的なミスを起こしてしまった自分が許せなかった。
任務中はプライベートなどない。
俺はそう思うことにしている。眠る時も浅い状態で眠りいつでも起きれるようにしておく、枕元にはオプサットだ。鳴ったらすぐに起きて確認する。
これは俺の鉄則事項だ。

サンクトペテルブルグの浴場での任務が終了し無事に地下のエレベーターより撤収した後、俺と今回同時に任務中の相方は一時の休憩をとっていた。もちろん、部屋は別だ。
秘密組織が用意した拠点とだけあって、表からは入口さえよくわからない。しかし古い屋敷を改造したその場所はなかなかに居心地が良かった。
少し幽霊が出そうな場所でもあったが――

『何かでそうな場所だな。』
建物の中に入りながら言ったら、
『何かってなんだ。』
と馬鹿正直な声色が返ってきた。
『そりゃあ、幽霊とか。お化けとか?ああ、これはどっちも同じ意味か。じゃあ、ゾンビ?定番だろ。ケストレル、幽霊は大丈夫か?』
『・・・・。』
一気にまくしたてた俺に、何を言ってるのか分からないというような顔をされた。
あのケストレルという相方は英語が上手くないのか。たまにこちらの言葉に目を細めている(のがバラクラバ越しの目からも分かる)。
初めは馬鹿にしてるのかと思ったが、ああそれもおうおうにありそうだが、どうやらそれだけでもないらしい。
強いなまりのある英語音声、まあ英語は彼の母国語でもない言葉だ。
多分、難しい言葉、ジョークの類だと理解しないことが多いのではないか。
(ためしに今度言ってみるか・・・)

浅い眠りにつきつつ、任務のことを思いだしているときオプサットが鳴った。
もう少しで眠れそうだったのに、と思いつつものそのそ起きあがりオプサットに出る。暗い中オプサットの画面を確認した。明るく浮かび上がる文字、
【スネークカム;プライベートモード】
ここでは数文字だけが送れる。
文字数ぎりぎりにそれだけが書かれている。
俺はベッドより起きあがりサイドテーブルに置いておいたスネークカムを耳にはめた。
プライベートモードということは、この音声は相方ではあるケストレルには伝わらないということか。

「はい、アーチャーです」
『俺だ。』
「・・・・、あ・・」
『分かるな、俺の名前は言わないでいい』
「・・了解。」
音声の声は一発で分かった。
ハンセン、同僚の彼であった。今回の任務にあたって管制担当官をしている。どうやら昔ロシアでの任務をしたことがあり地の利を理解してるということで採用されたものだと俺は思っていた。

「で、なんですか。」
『いくつかあるが、まずは始めになんであんなことを言ったかだ。それを聞きたい。』
「あんなこと?」
『ロシア人のゴミ掃除。』
「・・そんなこといったか?俺が?覚えてない。」
『覚えてないならいい。・・それより声が寝ぼけているなどうした。』
「どうしたって、途中で起こされたからに決まってる。」
『起こされた?まだ午後4時・・ああ、そうか時差があるのか。』
「・・・・・。」
ハンセンはロシアにいないのか。いや、ロシアと言っても拾い、時差がある。午後四時だと?どこにいるんだ。

「で、本来の目的は。」
『とっておきの情報がある。おい、ケストレルはどこにいる。』
「隣の部屋だ。」
『そうか・・じゃあ、一つお前に命令だ。』


ハンセンの通信は終始意味のないただの日常会話のようであった。
ただ、任務中ミスが多かったななどと言うことをいくつか言われて終わった。何が言いたいのか、ただ俺と会話するだけに送ったのか、それは考えにくい。
ハンセンのことだ、きっと何か裏がある。
何かを伝えたかったはずだ。
印象に残ったいくつかの言葉があった。

―ロシア人のゴミ掃除
これを何か俺に再度記憶付けたいように聞こえた。
自分では言ったことさえ忘れていたセリフだ。
ゴミ掃除、ゴミ・・綺麗にする。クリーンアップ。
一掃、壊滅、世直し。

あとは、午後4時と言った。いまここ、ロシアより10時間ほど時間が早い場所に彼はいる。ヨーロッパあたりか。アメリカ本土か。
ちょっとこれは調べないと分からないが。
それとも4時がキーワードか。

あとは、ケストレル―
なんでそんなことをしろ、と言うのか分からんが。
まあ、命令とあらば俺は動かざるを得ない。

ベッドより起きあがり部屋から出て、隣の部屋のドアの前にまでやってきたドアをノックしようとして、少し思いとどまった。
あいつ、部屋でなにしてるんだ?
そんなことを思い、ミラーを取り出しドアの下に差し入れる。これで部屋の中が見えるという仕組みだ。
「・・・・。」
ベッドの上にふとんがもっこりしているのが見えた。あそこに寝ているのか、ふうん・・
って、これを見たらこっそり忍びたくなってしまったじゃないか。
くそう、ハンセンも俺の心をよく知ってる。
部屋のドアを開ける。
鍵はかかっておらず、それは驚くほどスムーズに開けられた。
武用心すぎると思ったが、建物自体に高度なセキュリティもあるから、かけないでおいたのかもしれないが・・

『入ったか』
「・・・・!」
『見えている。』
「は・・、おい、どこから見てたんだ?」
『どこからって、ドアの下にミラーガジェットを入れてにやにやしてるシーンからだ。』
「俺が?まさか、いや・・にやにやなんかしてたか?」
『まあいい。それよりベッドにすすめ』
「本気でやるのかよ。」
『命令だ』
「はいはい、命令は命令・・か」

ベッドのふくらみに忍び寄る。
そしてその膨らみにそっと触れてみると、弾力を感じたが・・・
「おい、ここにはいな・・・」
「動くな。」
「・・・・っ・・」
背後に気配を感じたのも数秒、俺は首を絞められていた。

「おい、またかよ勘弁してくれ・・」
「アー・・・チャー・・・?」
「ああ、俺だ。離せ」
ていうか、起きてたのかよどういうことだよ・・・ハンセン。

「ここでなにをしている、私の部屋に忍び込んで何をしてる。」
「いや、忍びこむとかじゃなくてだな・・、と・・りあえず、腕を離してくれ・・・」
締めあげられすぎて息が苦しくなってきた。

「入ってきた訳を言え、それまでは離せん。」
「・・・ああ、だからだな・・その・・ちょっと驚かせようとな・・・」
「・・・・?」
「幽霊でるかもと言っただろ?だからちょっとした肝試しだ。」
「・・・・・。」
腕を離された。
ぷっは、と息を吹き返して呼吸をし、まだ苦しい息で振り向けば、顔をバラクラバで覆ってないケストレルを見れた。
始めてだ。思ったより・・・男らしい・・顔だった・・・

『よし、スキャンした。御苦労。』
「ああ、これっきりにしてくれ。」

「誰と話をしている。」
「あ?いや・・別にだれとも?それより悪かったな・・寝てるところ、・・邪魔した。」
「寝てはいない。」
「そうか・・・」
ハンセンの命令は遂行した、もうここに用はない、俺はドアに向かった。

ドアを手にかけ、そこで、
「女みたいなやつだ。」
「・・・・?」
そう、言われた。どういうことだ、俺が女?

「なんだって。」
ドアに向かいかけた足のまま振り返る。
「こそこそしてる。愛、とかいう。」
「こそこそ、は俺たちの本ずいだろう。俺に言わせればお前だってこそこそだ。」
「そうじゃない。そのこそこそする態度だ。」

訳が分からない言い回しだった。
いや、しかし、なんとなくはわかる。何か隠してるような本心を見せないようなという意味なのだろう。
というのも、それは俺がよく言われるセリフだったから。しかしケストレルは英語が堪能でない。それを上手く表現できず「スニーキング」としか言えないでいるのだろう。

こういった俺の性質は相方になったやつや同僚に言われる。
お前、本当のところはどう思ってるんだよ、ってな。
その度俺は、笑って言葉を飾り立てて誤魔化す。
自分の奥にまで入られるなんて冗談じゃない。

ケストレルはそれにうすうす気づいている。たった数時間しかいないのに、気付いている。

「愛、なんていったか?」
「フロムアメリカ、ウィズラブ。」
「ああ、いいだろ、それ。なかなか洒落てる。」
「意味が分からない。敵に愛を振りまいてどうする。そんなのは娼婦だ。」

娼婦とか・・・・
あほか。それは有名な映画のタイトルのパロなんだぜ?
って、こいつ映画見ないのか。
それより、ジョークだろどう聞いても。
おいおい、まさか本気にしてないよな。どこまで英語苦手なんだ。
でも、まあそれでもいい。
勘違いしたいならしとけばいい。

「娼婦で悪かったな。じゃあ、お休みピュアボーイ」
相手をするのも疲れてドアを開ける。
「・・・?」
「俺の半分、いや8割はジョークだぜ。ケストレル。」
「どういうことだ。」
「真に受けるな。」


部屋に戻った。スネークカムをサイドテーブルに置き、オプサットを枕の傍に置いて、「とっておきの情報だ、ケストレルはじつは女だ、試してみるがいい」なんて言ったハンセンをうらみつつ、眠りの体制につく。

まあ、冗談だとは思っていたが・・・しかし素顔が知りたいというのはどういうことだったのか。
ヴォロンはそこまではサードエシュロンに知らせてないってことか。
それより、頭が痛いのはケストレル・・だ・・

ベッドの上で寝がえりをうつ。
どうも俺はあいつに隙をつかれてばかりいる。俺としたことが・・

(今度の相手は、若干疲れるやつかもしれない・・・)
俺はそんなことを思いだしていた。



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