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理性 (アルタイル×マリク)
マリクの亡くした腕への感情の一部
マリクの亡くした腕への感情の一部
あの部分にはもう感覚がない、だからそんな手で触れないでいい。と言う。
その言葉自体が俺への贖罪のように聞こえた。
深い鳶色の目はやはり今日もそこに言葉以上の感情を見つけることができない。
いやそれとも苦痛の目なのか。 俺は推し量り、手にしていた彼の左腕の部分を「触れないで」と言われても、触れつづける。
「だから、そこは意味がない・・」
「俺には意味がある。」
強く握る。
引こうとしないこちらに、ちっと、舌打ちしたようだった。
「・・面白いのか。」
きつく眉を潜めて問う。
「面白いと言うより、嬉しいと言うかそんな感じだ。」
「なんだと。」
今度は怒り。
「勘違いするな、失ってくれて嬉しいというわけでない。俺だけが触れられるのだと思えば嬉しい、ということだ。」
「・・・・・? は・・」
首を傾げられ、次には笑われる。
いや、苦笑と言った方がいいか呆れているようでもあった。
「おかしなやつだ。」
「そうか?」
「本当にな・・・・・」
触れている、肉の部分が柔らかくほぐれるような感触になる。
なんだ、笑ってると言うのか?体の筋肉全体で?
でも、人は緊張と恐怖の前に毛を逆立て筋肉をこわばらせる。ということは、この部分にもまだ神経はある。そういうことなのだろう。
「もう、そろそろ離せ。」
「いや・・」
握って揉む。
「おい、なにして・・る・・」
「感覚がないのだろう?ならば、いいだろう。」
「俺はよくない。いくら感覚がないと言っても、お前に自分の体をそんな風に好き勝手にされたくない。」
「・・・・。」
なんだそれは。
「聞いてるのか・・おい・・」
なんだそれは。
常に、俺をさかなでることを言う。
酷いやつだ。
俺を凶器にしたいのか。
そして、俺も酷いやつだ。
また、こうして優しくできない。
「・・・・・っ・・・」
最中もずっと強く握っていた。そのせいか、俺の手の中で次第に硬くなっていた。こちらを警戒し拒否し、反抗しているのだろう。
そんな時はもう、どんなに謝罪しても、赦してもらえない。
分かっている。
でも俺は、
「すまない・・・・、やり・・すぎた・・」
「次やったら、殺す・・」
こんなときに見せる彼の涙が好きなのだ。
こんな感情、赦されるはずもない。
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