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近場の映画館でやってたので見に行きました
英題は「still life」=「静かなる生」です
もう改変邦題には何も言いません・・
映画自体は非常に高品質なイギリス映画という感じ
予告編をみただけではもっとコメディタッチのにぎやかな映画なのかと思ってましたが
いい意味で裏切られました
音のない映画、サイレント映画のよう
というのも、会話がほとんどなく、登場人物の動き、表情、音楽ですべてを語ってる
イギリス映画の古典的手法を使ってますが、どれも良くできておりました
主人公の人となりがこの表現だけ、それだけで分かります、映像をとる監督もすばらしいですが、この俳優の演技がすばらしいと思いました
ナチュラルに演じられてますが、実際これをやれといわれれば難しいでしょう
この映画を表現するならば
ロボットのような仕事人間が、感情を持ち出したとたん、無理なことをしてしまい急停止してしまう、しかし感情を持ったあとにレールを外れて走り出したときの表情は笑顔に満ちていた
です
私がこの映画で一番好きなのは、この直前のシーン
主人公が犬のマグカップを選んで手にしているシーン
マグカップをどうしてみてたのか
彼は、人とかかわりをもつことをしなかったプライベートで出会った女性を初めて思ったのだろう
今までは死んだ人を思うだけだったのに、生きてる人をはじめておもった
そしてマグカップは二つ、自分と女性用
この少し前のシーンにある
「いつでもなんでもできる、生きてるんだから」
の主人公の女性への台詞もすごく印象的だ
この展開ありきで、この感情を持つまま彼を急停止させた。
残酷に思えた
しかし、人の死は「最高の瞬間にとめること」がすばらしいものだと思うのなら、恍惚を感じながら人生を終えた彼は幸せだったのかもしれない
だが、死、は人の生の中で一番残酷なシーンなのは間違いない
そんなことよりもっと残酷なのは、最後まで女性が彼の死を知らなかったことだ
自分の死を知られないことはやはり残酷なのだ
主人公が「こうなってほしくない」という死のあとの葬儀をまさにこの主人公が体験してしまう
ここにこの映画の感傷が強く刻まれている
そしてさらに残酷なのが、
最後、いるはずの彼がいないことでさまよう女性の視線を「捨てられた?」イメージで描いたこと
その目は「いるはずの主人がいない」ことでさまよう捨てられた犬、のように見せたこと
女性は保健所で処分される犬のところで働いているという設定だ
女性も「このような犬を増やしたくない」と思っていたはず
しかし自分がそれを体験してしまうのだ
主人公も、女性も、自分の性質に近いものがなくなっていく、もしくはなくなる場所を仕事にして身をうずめていた
「こうした仕事をしているが、こうした人(犬)を出したくない」と思ってはいたはず
しかしそれを体験してしまうのが自分
その悲劇を淡々と描いているところにこの映画の残酷さを感じる
ストーリーは、身寄りなく孤独死した人を処理するという立場にいる主人公の話
ところどころに感じる主人公の「人とかかわらない」という描写もあったのが印象的だった
何度も電話してるシーンがある
が、その際相手の声は聞こえるかな?ぐらいでほぼ聞こえない
主人公の声のトーン、主人公の話してる会話の流れだけでほぼどんな会話をしてるかが分かるが、このシーンだけ見ても「会話」というイメージがない
主人公は電話機という機械を扱ってるだけ、に見える
決められた道を毎日通る
同じ道なので、同じように人が窓辺でタバコをふかしてるシーンもある
しかしその人と交流することはない
タバコを吸ってる人も、ここにまいにち通ってる主人公、などは風景の一部だろう
ある日突然その人物が自分の視界から消えたとしても気づかないと思われる
電車を行き先を背後にして座る、
これはどうも主人公の癖のようなのですが、かなり奇妙に見えた
テーブルや仕事机に乱れを許さない、食事は決められたものだけというものをみても、彼は決められたもの以外をしようと思わない
これにも奇妙さを感じる
彼は自閉症のひとがする、儀式的行動をよくした
動作一連からしてそんな感じだ
要領の悪さも自閉症チック
そうなると、なぜ「人とかかわらない」ようになったか
という疑問が「かかわりたくても人との距離感がつかめないから」なのだと、分かる
人とかかわりを持たない人というのは、
・人とかかわるのが好きじゃない人
もいる
・人とかかわることをしたいがそのきっかけが見出せない要領の悪い人
もいる
主人公は人とかかわるのをうるさくは思わないし、自分の「感情」を動かす相手にはかかわろうということもしてる
かかわりたいけど距離感が分からなかった
仕事はできても、要領が悪かった
ゆえに無駄も多く解雇された
この映画を見て、もっと人とかかわろう!みたいな考えは浮かばなかった
そういう啓蒙を感じる人はずいぶんと前向きにこの映画を見てるな、と思う
楽しい、やさしい映画とも思わない
ただただ残酷な映画
すごく胸を刺す映画と思った
おそらく自分の思うところにこの映画が反映されたのだろう
この映画は、見る人の心を映す作品にも思えた
私は、常に、人とのかかわりの距離感を推し量り、そして悩み、そして一人を選んでいる
しかしたまに疑問を持っている
だからそう感じたのだろう
追記
パンフレットを読んだが、見当違いのレビューが並ぶ中、主演のエディのコメントが本当にすばらしかった・・
この映画と主人公をあまりにも的確に表現している
本当にこの俳優の読解力はすばらしく、それに基づいた演技なのだと改めて思った
すばらしいと思う記載をいくつか抜粋するが
()内は自分の思うところ
「孤独死の葬儀をする仕事をするということは、どんなに奇妙で孤独か」
(これに、彼の性格傾向を持ってしてはじめてあの奇妙な仕事ができたのだなと思った、22年、普通の神経をもっていたらそれ一色でやるなど到底無理だろう、彼のような「人とかかわらない」という、この仕事の他に面白さを感じない人だから淡々と、発狂することもなくこなせたのだろう・・)
「彼は一人だけど、孤独ではない」
(これも私は思っていたところ、つまり孤独さを感じない、さびしくはない、さびしいという感情もない)
「死んだ人について責任をもつことに、安心と喜びを感じている」
(安心、という表現が本当に的確だと思った。彼は仕事に満足してるし、やりがいというより天職だと思っていたのでは?)
「仕事を失ったとき、逃げ場がなくなってしまい、人生を真正面からむきあわねばならなくなる」
(つまり、彼は自分の人生の意味を、探さなくてはならなくなる・・この表現もうまいなあ、と思った)
「ビリーのカオスに満ちた生涯は、主人公のきちんとした生活とは鏡像になっており、
そして(対のアパートという)距離だけはなく、主人公の生活とも対になってる」
(すばらしい解釈、まさにその通りです)
「ビリーの生涯の調査はジョンを地理的だけでなく、心理的な旅にも連れ出します
そして人生が彼に平手打ちを食らわせるのです」
(私は、急停止、と書きましたが平手うちときましたか・・この表現うまいわ)
この俳優さんが好きになりました
本当に、すばらしい・・
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