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2011年の作品ですが日本で公開されたのは2012年、DVDが出たのも今年。
私はファスベンダーが出ている作品ということと、ユングとフロイトという有名な精神分析医師の話だったので興味を持ちみました。
DVDパッケージに記されているのは「危険な愛」「ふたりの男を引き裂く女」みたいなみだしで、どうも男女関係のスキャンダラスな映画というのを謳い文句にしてますが、見てみるとザビーナという女性はあくまでもふたりの男性医師の交流の始まりと終わりの原因となったかもしれませんが、それほど危険な存在でもなく、・・というか私にはこれは、
古風でしっかりと地に足がついている男で、ここまで苦労して築き上げた自分の信念には確固たる自信があるフロイト、おそらくカソリック
と
若く美しく、優秀で、野心的な、女にもモてる、金もある、新たな発想を持ち恐れるものもないという感じで自分の理論で世界を歩みだそうとしているユング、おそらくおそらくプロテスタント
との、対比、交流、のような気がします
このふたりの間には、妖しいところもあり、師弟関係を超えたなにかもありそうなんですよね
精神的なこう、ふたりの危ういセクシャルな交流
そこに魅力を感じました
ていうか、ザビーナとのシーンがそこそこのことをやってるんですが全く全然エロくないんですよね・・このふたりがひとつのシーンにいる方のが激しくエロイ
別にエロさが映画における善ではありませんが、そういうセンセーションはやはり映画の見所で華でしょう、ていうか、やはり見せ所としては大事
それを思う人は少ないと思いますが・・私はそう思う
そしてそのエロいシーンの一つが上の写真のシーン。
これは、映画の中の一場面で、ユングがフロイトのいるウィーンを訪れる一シーンで
フロイト(手前)はこの前に葉巻を切り、「肛門期」の話をユングにし、ユングはそんな話を聞きながらも、もぐもぐと美味しそうに茶菓子を食い、このあとユングが茶を飲んでいる間にフロイトは葉巻をくわえ、ゆったりとそれをふかすという対比が印象的な場面で
フロイトはここで(ザビーナを)「処女か?」ときき、それにユングは「ええ、たぶん、ええ、そうです」というのですが、このあとにこのフロイトのかすかな笑みです
若いな・・と思ったのか、なんなのか・・
なんだかみててすごくもやもやというのをさせられたんです
この「処女か?」というセリフはどう見てもユングに向けてのセリフのような気がします
ていうか、このときのきょとんとしたユングの可愛さと、このフロイトの渋さがすごくいいんです・・
こんな調子で映画はゆったりと進みます
ふたりの急速な歩み寄りというのは、熱病に犯されて恋に落ちるふたりにも見えますし、
女性問題が原因で破綻する二人というのもなんともロマンチックです
ていうか、フロイトの前では、なのか、このユングがもりもりと食べるシーンが多い、のもすごく印象的、食欲と若さというのはすごくイコールに近いものがあり、それを押し出す効果だった気がします
あとは葉巻とパイプの対比(また安っぽい紙タバコを吸うもうひとりの彼もいますが、この彼はフロイトがユングという気になる若い男に差し向けたというのも面白いです・・こういう性衝動的なことを得意とする彼はユングの苦手なタイプと知って、彼に荒療治をしたかったのか、とも思えますし、この彼を仕向けたことでユングは自分の中にある雄の本能的なものを刺激されてはザビーナとの一線を超えてしまうのです、どうみてもフロイトの策略に思えます
これでユングが行動しなければ、また別の手段に出ては彼をしっちゃかめっちゃかにしようと、意識的にではなくともやったのではないでしょうか)も思う
撮影現場のシーンを見ればわかりますが、かなり二人の話すときの距離が近いのもなんか・・目を疑う、同性同士のそれこそ友人の距離ではないだろって突っ込みます
逆にそこまでの距離の近さをももちながらも、キスさえしない、手さえ握り合わないのが違和感で、だからこそストイックなエロスがあります
というか、二人は精神科医で神経症の患者を治療する立場でありながらも、でもふたりはすでに精神はまともではないという設定で、精神がまともでないものを並べて置いて、何もドラブルが起きないはずがない
ラストの方に、フロイトが「君とはもう会わない」みたいな別れの手紙を書いて(しかもそれには、ユングをどう思っているかみたいなことがかなり詳しく書いてあり、ユングがそれを読むシーンでその手紙は表裏という表記がされているのがわかる・・どうして二枚に書かなかったのか・・表裏のある感情の吐露という意味なのか、それとも「一枚に収めたい」というプライドが二枚目の便箋を用意させることをしなかったのか・・もしそういうプライドがあったのだとしたらフロイトのユングへの愛はすごいな、と思うわけです
んで、それにユングが「あなたがそういうなら・・」とかなり素っ気ない返事をくれる、んでうすがユングはそのフロイトの手紙をくしゃくちゃに丸めて、食事皿にナプキンのようにぶちまけるんです・・うわあ、と思いました
ユングはスマートな外見に似合わあずもりもり食べるという描写をここまでさせていて、それをフロイトの前でしてみせてきたことは、若さの象徴でもあるかもしれませんが、食欲とか性欲みたいなのは男の性の勢いを表すとでもしたら、ええ、そうでしょう
丸められた手紙は、まるで情事のあとに丸められたティッシュのような・・そんなイメージです
そしてその素っ気ないユングの手紙を見て、フロイトは自分の部屋にあるユングの写真(なんでそんなものを飾っていたんですか・・・・(呆然))を箱に(しかもきちんと写真の方を下にして)しまうっていう 恋に破れて、相手を忘れたい女性というか・・このフロイトの女性的な姿にがガタガタものです、本当に
そしてそのフロイトとの決別後に、生きる糧を失ってぼんやりしてるフロイトにもすごいきた
どんだけ大事な人だったんだ っていう
どっちにしろ、この作品の中にもファスベンダーの美貌と美しさとそれゆえの奔放っぷりが魅力ではありました
まあファスベンダーファンは見るべきでしょう、おすすめ
少し枯れた魅力のあるフロイトが、ユングのその若さの前に、めまいを覚えながらも、相手を刺激しては、怒らせ、感嘆させ、でもずっと大切に深く思っていたというのはすばらしい
あと好きなシーンはユングが自慢のヨットにフロイトを載せるシーンですね・・
ユングはイケメンでスポーツ万能みたいのがここで見えるのですが、フロイトはヨットとか慣れないでその船上でステッキ片手に縮こまって居心地悪くしてるのが可愛くて
若い男の好みに合わせてデートしてるけど、こんなことなれないの、みたいな感じがいいです
フロイトははじめはリードしてくれる年上男性の風格をもっていましたが、だんだん可愛く見えてきます
こんな感じのシーンも含め、面白い、というシーンはいくつもあるのですが、それがどんなふうにつながるかと思うと、個人的にはフロイトとユングの対比をもっと描いて欲しかったと思う
90分では物足りない映画でした
ていうか、この映画見て、このふたりのこういったロマンスじみた関係を感じて「いいわ」とか言ってるのってもしかして珍しいんですかね・・
あまりこの映画の感想を周囲でみないのですが、こう、思うよね??
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